こんにちは。
シャーヒ・ズィンダ廟群は、サマルカンドといえばのフォトスポット。サマルカンドブルーと聞いてイメージする色合いは、レギスタン広場よりもこちらの方が近いかもしれません。
ただ私が訪れた時間帯はちょうど団体客と重なり、写真を撮るのも一苦労でした。特に一番奥のクサム・イブン・アッバース回廊は、人を見に行ったのかと思うくらいの混雑ぶりでした。
それでも、建物はやはり美しく、いくつかの霊廟内は見事なタイル装飾で埋め尽くされていました。中には、鮮やかなグリーンのタイルが印象的な霊廟もありました。
シャーヒ・ズィンダ廟群とは
シャーヒ・ズィンダは「生ける王」を意味し、預言者ムハンマドの従兄弟クサム・イブン・アッバースにまつわる伝承にちなんで名付けられました。彼がこの地でイスラム教を広めようとした際に命を狙われ、井戸に身を隠して今も生き続けている、という言い伝えが残っているのだとか。
この廟群は、サマルカンドの北東の丘の斜面に位置しています。
20以上の霊廟が、細い通路を挟んで両側にびっしりと並ぶ独特の景観を持つ墓廟群で、そのほとんどが14〜15世紀、ティムール朝の時代に建てられたもの。ティムール自身の乳母や姉妹など、一族ゆかりの人々が多く眠っています。
シャーヒ・ズィンダ廟群は、下部・中部・上部の3つのエリアに分かれており、最奥部が最も高い位置にあります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 入場料 | 80,000ソム(約1,080円) ※カード払いは手数料がかかり、81,600ソム(2026年6月現在) |
| 所要時間 | 約1.5時間 |
| 支払い | カード可 |
表門から天国の階段
入口の立派な門 (ダルヴァザハナ)は、1434~1435年にティムール朝の君主であり天文学者のウルグ・ベクの命により建設されたもの。

門をくぐった先にチケット売り場があり、その先の「天国の階段」が続いています。

最初に目に飛び込んでくるのが、階段の途中に現れるのが2つのクーポラを持つカーディー・ザーダ・アッ=ルーミー(ウルグ・ベクの師であり、高名な数学者・天文学者)廟。


こちらも入口の門と同時期にウルグ・ベクの命により建設されたもの。


内部は真っ白な壁に覆われて、がらんとしてしており、その奥の部屋に墓石が安置されています。壁と天井は白を基調とした美しい装飾に覆われて、静謐な雰囲気を纏っていました。
中部エリアの霊廟を巡る
階段を登り切ったところにある門をくぐると中部エリアの霊廟群が現れます。中部エリアには、ティムールの親族や軍事・宗教的に高位にあった人物の霊廟が並んでいます。

手前には、「アミールの息子」を意味する通称「アミルゾダ廟」と呼ばれる霊廟と、ティムールの武将の一人だったアミール・フセインの母のために建てられ、のちに本人もここに葬られたというトゥグル・テキン廟(アミール・フセイン廟)が向かい合って立っています。
外壁の華やかな装飾とは対照的に、内部は白一色で、かなりシンプルな内装。
シリン・ベク・アーガー廟

ティムールが、1385年に亡くなった妹シリン・ベク・アーガー(Shirin Bika Aga)のために、14世紀末建てたとされる霊廟です。


内部の壁面の下部はグリーンとブルーのタイル装飾が印象的で、上部は白地に濃紺と金の控えめながら美しい装飾でした。
八角形の廟
シリン・ベク・アーガーの隣の八角形の建物。

こちらは14世紀の建立で、他の霊廟とは違い、側面が開いたオープンエアーの造りになっています。地下には円形の墓室(ヒルホナ)があるそう。

ドームから内部の壁、天井までタイル装飾に覆われていて、見応えがありました。
シャーディ・ムルク・アーガー廟
ティムールの姉クトルグ・トゥルカン・アーガーや、その娘(ティムールの姪)シャーディ・ムルク・アーガーが眠る霊廟。

この一体はブルーの美しいタイル装飾の霊廟がひしめき、下から見上げた時の美しさは格別です。

シャーディ・ムルク・アーガー廟の内部の装飾も必見。グリーンを基調とした精巧なモザイクタイルに覆われていて、幻想的な空間。

繊細で美しい彫刻装飾が施された木製扉も目を見張るものがあります。
ウスト・アリ・ナサフィ廟
この一帯の建物の中でも、優雅な幾何学的フォルムが際立つ霊廟です。

ナサフィ(現在のウズベキスタン南部カルシ近郊の古い都市ナサフ)出身の建築家アリによって、1360〜70年代に建てられたそうですが、誰のために建てられたのかはわかっていないのだとか。


こちらも内部の装飾がかなり残っていて、グリーン、濃紺、ゴールドのグラデーションが優美でした。
クサム・イブン・アッバース複合施設|最も神聖な一角

奥に進むと、預言者ムハンマドの言葉として、「クサム・イブン・アッバースほど、性格も容姿も私に似ている者はいない」という一節が書かれた案内板があります。
ここから先が、モスクと霊廟、礼拝室からなるクサム・イブン・アッバース複合施設です。11〜12世紀の建立で、クサム・イブン・アッバースは預言者ムハンマドの従兄弟であり、中央アジアにイスラム教を伝えた最初期の宣教師の一人とされています。

ここは、濃紺とオレンジがかった暖色系のタイル装飾が使われていて、他の霊廟とは色合いが異なります。

礼拝スペースがあり、お祈りをしている女性の姿も見かけました。静寂で神聖な空気が感じられました。
上部|3つの霊廟に囲まれた青の空間
上部(最奥部)にある門は1404〜1405年、シラーズ出身の名匠サイード・ユスフの手によるものです。右側には、アラビア語で「信仰する者に、楽園への扉は開かれている」という一節が刻まれています。

門をくぐると3つの建物が向かい合うように建っていて、とにかくブルーに囲まれた、独特で神秘的な空間。観光客が多く、少しテーマパークのような雰囲気もありましたが、それでも建物そのものは素晴らしく、見入ってしまいます。
トゥマン・オコ複合施設
15世紀、ティムールの妻によって建てられた施設で、2つの付属室とモスク、霊廟からなります。

装飾は、タブリーズ出身の名匠シェイフ・ムハンマド・イブン・ホジャ・バンドギルによるものです。

内部の下部はツヤのある深いグリーンのタイル、上部は白、紺、金を基調とした繊細な色合いで、彫刻装飾と相まって美しい幻想的な空間。


3つの建物の中で、特に内部の装飾が際立っていました。
ホジャ・アフマド廟
14世紀建立で、一帯の建物の中でも、最も精緻な彫刻テラコッタで知られています。

炎天下と人混みで疲れてしまい、この霊廟の前の日陰で少し休憩。建物と建物の間から吹き抜ける風が心地よかったです。

ホジャ・アフマド廟の前には、ウズベキスタンの伝統柄の服を着た女性の絵描きさんが、タイルを写生していました。その佇まい自体も、絵になる光景。
まとめ
シャーヒ・ズィンダ廟群は、11〜20世紀にわたる建築様式が凝縮された、いわば「イスラム建築の百科事典」ともいえる場所で、世界中の人々を魅了する圧倒的な美しさ。芸術面はもちろん、これほど壮麗な建築を成し得た、当時のティムール朝の財力もうかがえる場所でした。
訪れるタイミングについては、団体ツアーは午前中(10時前後)に集中しやすい傾向があるようです。混雑を避けて写真を撮りたい場合は、オープン直後の早い時間、または夕方に訪れる方が落ち着いて見学できるかもしれません。未確認ですが、夕方は、夕日に照らされて昼間とは異なる独特の美しさを味わえるようです。
★サマルカンド観光のモデルコースや、実際に泊まった宿については、こちらの記事でまとめています。

★レギスタン広場の観光についてはこちら

それぞれの霊廟の由来や、埋葬されている人物について、より詳しく知りたい方にはガイド付きツアーもおすすめです。
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