こんにちは。
シラクーサで3泊した後は、シチリア東南部の渓谷に位置する町ラグーサへ移動。ラグーサも前回ご紹介したノートと同様にユネスコの世界遺産「ヴァル・ディ・ノートの後期バロック様式の町々」に登録されている町の一つ。町の規模はノートよりも大きく、渓谷の壮大な景観を楽しめます。
シラクーサからラグーサへ移動
シラクーサからラグーサまでは電車(Trenitalia)でアクセスできます。
チケットは券売機で購入。シラクーサからラグーサまでは片道10.50€、約2時間の道のりです。電気系統のトラブルで10分ほど遅れて出発。電車内はモダンできれい。

スーツケース置き場が上の棚しか空いてなくて、苦戦してたら、ガタイのよい欧米人旅行者が助けてくれました。ヨーロッパ旅行は、飛行機や電車など、見知らぬ乗客がこういう時に助けてくれる率ほぼ100%。本当にありがたい。
のどかなシチリアの風景を眺めてながら、うとうとしていたら、1時間半くらい経った頃、渓谷の景色が見え始めました。

パレルモやチェファル、シラクーサ、ノートで見てきた景観とはまた異なる景観で急にワクワクしてきました。
ラグーサの位置関係
渓谷に囲まれたラグーサは、標高の高い場所にあるラグーサ・スペリオーレ地区と標高の低い場所にあるラグーザ・イブラ地区(旧市街)の2つの地区に分かれています。

鉄道駅や長距離バスが発着するバスターミナルは、ラグーサの観光エリアからは少し離れた場所に位置しています。
🚊ラグーサ鉄道駅

鉄道駅からスペリオーレ地区中心部までは徒歩約15分。渓谷に架かる橋を渡っていきます。地味にアップダウンがあったり、石畳の凸凹道もあったりするので、スーツケースなど重い荷物がある場合は少し疲れます。
🚍ラグーサ・バスターミナル

ラグーサのバスターミナルは、鉄道駅からさらに南東に1km離れたところに位置しています。私は次の目的地に行くのにバスを使うため、スペリオーレの宿泊場所から歩いて行きましたが、結構遠かったです。スーツケースもあったので、30分くらいかかりました。歩くのは苦ではないものの、凸凹道でスーツケースをゴロゴロと引くのはなかなかしんどい。
見どころは、イブラ地区に集中していますが、坂道や階段、石畳が多く、宿泊は要注意。駅からはタクシーなど使わないとかなりきついと思います。
今回私は利用しませんでしたが、スペリオーレとイブラ地区を循環する市バスも走っていました。
アールヌーボー建築の隠れ家SOGNALIBRO bed and books
ラグーサ駅に到着後まず向かったのは、宿泊先の「SOGNALIBRO bed and books」。スペリオーレ地区のカテドラルからもほど近い便利な立地に位置しています。
こちらも民泊で、コンタクトレスチェックイン。

重厚な門を入るとサロンのような天井の高い空間が広がっていました。SOGNALIBRO bed and booksは、この建物の一角の古い書庫を改築したようです。

玄関を入ってすぐリビングスペース。ベッド&ブックスというだけあって、本棚には古い書籍がたくさんありました。建物は古いけれど、内部はリノベーションされていて、ステキな空間が広がっています。

予約サイトではキッチン付きで写真も掲載されていたのに、キッチンが取り払われてしまってました。今回は、あえてキッチン付きの宿を選んでいたので、少し残念・・・。


リビングルームの奥にベッドルームが2つありました。好きな方のベッドルームを選んで良いとのことだったので、デスクのある②にしました。

今回は私一人でしたが、もしかして、もうひと組泊まることもあるのかしらと思い、外出時と就寝時は念の為、ベッドルームの部屋の鍵もかけました。

シンクはバスルームの外にあるタイプ。タイルの色がどことなく和モダンなデザインと色合い。

バスルームはシンプルですが、シャワーの水圧も問題なし。
Agodaで2泊で約4,201バーツ(1泊約2100バーツ≒56ユーロほど)でした。ラグーサの観光税は1泊1人あたり1ユーロ、2泊で2ユーロ。こちらの宿では現金払いでした。
ラグーサ・スペリオーレの見どころ
渓谷にかかる3つの橋
まずはラグーサ・スペリオーレの見どころ。駅からスペリオーレ地区には3つの橋がかかっています。

3つのうち、真ん中にあるポンテヴェッキオがおそらく一番古い橋でしょうか。

こちらはヌオヴォ橋。

ヌオヴォ橋から下を見ると、渓谷内はまるでダンジョンのような雰囲気。階段状に石が積み重ねられており、散策ができそうでした。
サン・ジョヴァンニ・バッティスタ大聖堂
スペリオーレ地区のランドマークとなっているのが、サン・ジョバンニ・バッティスタ大聖堂。

威風堂々とした端正なファサードが美しい。

内部もヴォールトや側廊の礼拝堂の壁などにバロック装飾が施されており華やか。

天窓から差す光が神々しい。

洗礼の礼拝堂。中央には、聖ヨハネから洗礼を受けるイエス・キリストのブロンズ像があります。天井には神と鳩、洗礼のシンボルを持つ天使、壁には洗礼の様子や出エジプト記が描かれています。

大聖堂前のサン・ジョバンニ広場には、カフェやレストランが立ち並び賑やかな雰囲気。

手前のカフェ・イタリアで朝食にリコッタクリームのたっぷり入ったクロワッサンとカプチーノをさくっといただきました(3.40€≒125バーツ)。観光地のど真ん中でもこの価格。バンコクのカフェだとカフェラテで120〜150バーツくらいが相場なので、シチリアのカフェは安い。
郵便局
ラグーサの郵便局オフィスの建物。

この郵便局は、イタリアの独裁者ムッソリーニ政権時代の1930年頃に建設。ファサードの9本の柱の上には、9人の彫像が据えられています。共産圏国家にありそうな厳つい建物。イタリアのファシズム時代の歴史を今に伝える建築物の一つ。
バロック建築の町並み

郵便局前のイタリア通りを少し東に進むとベルティーニ邸。ピンクがかった壁と緑の窓、窓枠のバロック装飾が特徴的。

よく見るとシュール。夜見ると怖いかも。

こちらの建物はバルコニーがステキ。

スペリオーレ地区は、碁盤の目のように区画整備されていてわかりやすく、カテドラルの鐘楼は、ランドマークに。

クリーム色とピンク色のパステル調の建物が多く、なんか可愛いのです。

こちらのバー(レストラン)には、彫像がさりげなく配置されていて、遊び心があって面白い。
マッジーニ通り(Corso Mazzini)
スペリオーレ地区からイブラ地区をつなぐ坂道(マッジーニ通り)沿いにも興味深い建物やビュースポットがたくさん。
サンタ・マリア・デレ・スカーレ教会
スペリオーレ地区からイブラ地区に行く際に最初に立ち止まるスポット。ここはテラスがビュースポットとなっていますが、教会自体も古い歴史があります。

創設は13世紀まで遡るそう。テラコッタ製の祭壇は1538年に制作されたもので、下部は聖母マリアの眠りと祈りを捧げる使徒。上部は聖母被昇天の様子が描かれています。

もとはゴシック様式の建築でしたが、1693年の大地震の後、バロック様式で拡張工事が行われました。
右側がオリジナルの部分でしょうか。

状態はあまりよくありませんが、壁には歴史が感じられるフレスコ画も見られました。
イブラ地区を見渡せるビューポイント
サンタ・マリア・デレ・スカーレ教会のテラスや少し下の道沿いは、イブラ地区を一望できるビュースポット。

観光ガイドなどでよく見るこの景色が堪能できます。いつまでも見ていたい景色。

さらに夜はもっと幻想的で中世の時代にタイムスリップしたような雰囲気を醸しています。

青いドームの鐘楼はサンタ・マリア・デリトリア教会のもの。
マッジーニ通りのバロック様式の邸宅

サンタ・マリア・デリトリア教会の少し上には、豪華な装飾が施されたカンチェレリア邸。

サンタ・マリア・デリトリア教会横の階段を下った先にあるのはコセンティーニ邸。

外観はだいぶくたびれてしまっていますが、こちらもバルコニーの装飾がユニーク。
ラグーサ・イブラの見どころ
サンティッシモ・アニメ・デル・プルガトーリオ教会
マッジーニ通りを下った先には、レプブリカ広場(通称アーチ広場)があり、広場に面して建つのがサンティッシモ・アニメ・デル・プルガトーリオ教会。

この教会は、1693年の大地震前に後期バロック様式で建設され、大地震を無傷で乗り切った数少ない教会。18世紀に入り、拡張工事が行われ、今の状態になったそう。

レプブリカ広場からスペリオーレ地区を見上げると、斜面に張り付くように建物がびっしりと建てられているのがわかります。
ドゥオモ(サン・ジョルジョ大聖堂)とドゥオモ広場

イブラ地区の目玉の一つがドゥオモ(サン・ジョルジョ大聖堂)。18世紀のシチリア・バロックの建築家ロザリオ・ガリアルディが手がけた作品の一つ。

何といってもこの階段が特徴。華やかな広場から階段を上っていくと大聖堂へ続き、階段が舞台装置の役割を果たし、ドラマチックな景観を作り出しています。

ドゥオモ広場は、美しい建物に囲まれています。こちらはアレッツィ邸。
建物のほとんどが現在はレストランやカフェ、ホテル、ショップなどとして利用されているようです。

こちらの建物は、貴族のプライベートクラブ(会員制の社交クラブ)。今も会員制だそうですが、ガイドツアーで見学ができるようです。

ドゥオモ広場から100メートルほど東にあるポーラ広場の角にあるサン・ジュゼッペ教会もサン・ジョルジョ大聖堂に似た美しいファサードの教会。この広場も映画のロケ地として利用されたことがあるそうです。
イブレオ庭園
イブラ地区の東端には、イブレオ庭園があります。

庭園入口は立派な石の門構え。敷地内には教会もあります。

クリスマスデコレーションやクリスマスマーケットもあり、暗くなってから訪れたらまた違う雰囲気だったかもしれません。
この日は天気がよくて、散策が気持ちよかったです。ヤシの木や南国っぽい植物も植えられていたり、子供の遊び場があったりと、地元の人々の憩いの場でもありそうでした。

庭園の先端に行くと、渓谷沿いの景色を一望することができ、癒されました。
イブラ地区の街角ウォッチング
イブラ地区は、細い路地が迷路のように入り組んでいて、ふと中世の街に迷い込んだような気分になることもしばしば。

地図を見ずにあちこち歩き回るのが楽しい。

ガォーー!!すごい顔だな。あなた、その顔で急に現れると怖いんだわ!

バルコニーの下部を支える装飾もバラエティーに富んでいて、思わず顔がにやけてしまう。

でも、、、ここまでくるとちょっとホラー。
ラグーサは、今でこそ観光地の雰囲気ですが、今でも貴族のたくさんの豪邸が残っており、当時はかなり華やかな町だったことが推測できます。坂道が多いので少し疲れますが、とにかく散策が楽しい町なので、シチリアを訪れる際はぜひ足を伸ばしてみてください。
ちなみに、ラグーサに限らずですが、シチリアは狭い道が入り組んでいることも多いからか、小型車が多い印象。

フィアットのトッポリーノ。乗り心地がよいのかはわからないけれど可愛すぎる。長距離は疲れそうだけど、街乗りカーとしては便利そうです。
さて、次回はラグーサのお隣モディカをご紹介します。


コメント